マー君とダルの「我こそ一番競争」

スポーツ観戦は、さまざまな要素があるから、面白い。

 アスリートの高度な技量が発揮されることに感心するだけでなく、選手の心理状態を推し量ることで、楽しさは増す。また、選手の生きざまを慮ることで、人生ドラマを垣間見ることもできるからだ。

 津軽のシニアブロガーがスポーツ観戦やスポーツ選手について、ブログ記事を書くときは、スポーツに関する技術論というよりは、選手の心理状態や人生ドラマの観点からの記述となる。

 去る4月5日の土曜日。田中将大投手の米大リーグデビュー戦、ブルージェイズ戦を観た。テレビ画面越しに観る田中投手は、立ち上がりの2回目までは、緊張感に包まれ、青ざめた表情である。

 無理もない。太平洋を渡り、米大リーグで活躍するという夢を叶えた瞬間だもの。しかも、デビュー戦は、アウエーで、カナダのトロントで行われた。それやこれやで、緊張している田中投手。

 結果は、7回を6安打3失点(自責2)に抑え、初勝利を挙げた。8奪三振で、無四球なところが素晴らしい。

 試合後のインタビューで、田中投手は、「うれしいです」を3回も連発した。そこには、安堵感いっぱいの笑顔がある。


 田中将大投手は、さまざまな理由で、米大リーグデビュー戦は、勝たなければ、と思ったし、勝ちたい、と思った。

 
① 161億円の契約金

 田中投手は、ヤンキース入団に当たって、7年契約総額1億5,500万ドル(約161億2,000万円)で契約している。これは、米大リーグの歴史に照らしても、破格の高評価である。

 だから、世界中の野球ファンや野球関係者には、田中投手が勝って当たり前という雰囲気がある。

② 三つの世界記録保持者

 田中投手は、昨シーズン、24勝無敗という日本プロ野球新記録を達成し、楽天を初の日本一に導いた。その同一シーズン24連勝と、一昨年8月26日からの28連勝と、ポストシーズンでの2勝を加えた30連勝の三つがギネス世界記録に認定されている。

 田中投手には、三つの世界記録保持者としてプライドと意地があるのだ。

③ ダルビッシュ発言

 去る2月19日、レンジャーズのダルビッシュ有投手は、練習後の記者会見で、田中投手とヤンキースとの入団契約について聞かれた。あの7年契約総額1億5,500万ドル(約161億2,000万円)での契約だ。

 3年前に6年契約総額6,000万ドル(当時約46億円)で契約したダルビッシュ投手は、「(田中投手は)もらいすぎかな」と苦笑しながら、冗談を飛ばしたと報道されている。

 しかし、それが騒ぎになって、記者会見が終わってから2時間半後、ダルビッシュ投手のコメントが発表された。「田中将大投手へのコメントに関して、もしも、本当だと思われている方がいたとしたら、残念に思います。あの時の(メディアの)反応から、冗談だと分かってくれたと思っていました」と釈明している。

 ダルビッシュ投手が「(田中投手は)もらいすぎかな」と発言したこと自体は、確かに冗談だろう。しかし、ダルビッシュ投手からすれば、田中投手の7年契約総額1億5,500万ドル(約161億2,000万円)に比べ、自分の6年契約総額6,000万ドル(当時約46億円)は低すぎると考えても、不思議ではない。

 渡米前の日本プロ野球での成績は、ダルビッシュ投手が7年で93勝38敗に対し、田中投手は7年で99勝35敗であり、そんなに違わない。実績と実力の両面で俺は田中投手に遜色ない、とダルビッシュ投手は考えたはずだ。

 一方、田中投手がダルビッシュ発言についてどう思ったかの報道は知らない。が、田中投手は、自分の実力は米大リーグの実戦で示す、と心に決めたはずだ。

④ 一番意識

 ダルビッシュ投手と田中投手とは、2歳違いであり、前々から、公私共に最良の関係にあると報じられてきた。

 しかし、最良の関係であればあるほど、互いに俺が一番だとの意識を持つのが超一流アスリートの本能だ。

 以上申し述べた①から④までの理由で、田中投手は、米大リーグデビュー戦は勝たなければ、と思ったし、勝ちたい、と思った。そして、見事に勝ってみせたのである。


 4月5日の米大リーグデビュー戦。日米の野球ファンからの注目を一身に集める中、田中将大投手は、記念すべき初勝利を挙げた。渡米前に日本で99勝をマークしていたから、これで日米通算100勝目の達成である。

 日本プロ野球におけるドラフト制導入以降、それまで100勝目に到達した最速は、ダルビッシュ有投手の日米通算177試合目である。今回、田中投手が挙げた日米通算100勝目は、176試合目での大台到達であり、最速記録を塗り替えたことになる。

 しかし、ダルビッシュ投手も負けてはいない。

 彼は、3月31日のフィリーズ戦で自身メジャー初の開幕投手を務めることが決まっていたところ、寝違えによる首痛で回避せざるを得なかったが、4月7日のレイズ戦で今季初先発を果たした。

 その試合は、7回を投げ、勝利投手となった。7安打、6奪三振、1四球、無失点と好投し、試合は3-0での勝利だ。

 それのみならず、ダルビッシュ投手は、金字塔を打ち立てた。初回に昨年ア・リーグ新人王のマイヤーズ外野手から三振を奪った時点で、米大リーグ史上最速の500奪三振を達成したのだ。それまでの記録を13年ぶりに塗り替える快挙である。

 田中将大投手とダルビッシュ有投手。二人の米大リーグを舞台にした「我こそ一番競争」は、今、始まったばかりである。この先、数々の名勝負と記録と記憶を米大リーグの歴史に刻んでいくことだろう。

 マー君とダルの「我こそ一番競争」は果てしなく続いていく。それは、誠に嬉しい限りである。

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