「葛西紀明選手と高梨沙羅選手。北の大地はデッカイドウ」

日本時間2月24日未明にソチ五輪が閉幕してから、1か月近くが経った。スポーツ競技は、単にアスリートの競い合いに止まらず、様々に人間ドラマが展開されるところが面白い。

 そうした人間ドラマは、人生ドラマであり、それによって、津軽のシニアブロガーは、様々に勉強することができる。


 ソチ五輪が2月7日から始まるのを前にして、2月5日付けで応援のブログ記事を書いた。そのブログ記事は、次のように結ばれている。

 ソチ五輪で日本国民期待のジャンプ。ジャンプ男子は、41歳の葛西紀明選手が史上最年長で優勝し、ジャンプ女子は、17歳の高梨沙羅選手が五輪の初代女王に輝き、金メダルをそれぞれ獲得する。

 親子ほどに年齢が違う葛西選手と高梨選手。北の大地はデッカイドウの両選手が共に金メダルを首にかけながらのツーショット。彼らの活躍はデッカイドウ。実に痛快ではないか。

 しかし、津軽のシニアブロガーが期待したデッカイドウの葛西選手と高梨選手のツーショットは、成らなかった。

 日本時間2月12日、ソチ五輪ジャンプ女子のノーマルヒルの1回目を終わって、3位の高梨選手と1位のカリーナ・フォクト選手との差は、わずか2.7点差。僅差の戦いだ。

運命の2回目、高梨選手が飛ぶ。しかし、距離が伸びない。98.5m。あと二人を残して、2位。

 結果は、高梨選手は、4位。メダルに届かなかった。ソチ五輪から競技種目に採用されたジャンプ女子で金メダルを獲得し、初代女王になる、という高梨選手の望みはついえた。

 しばらくして、高梨選手に対するテレビのインタビューが始まる。聞き手は、NHKの工藤アナだ。

 インタビューが進行し、受け答えが続く。画面には、歯を食いしばり、泣くまいとこらえながら、しかし涙する、高梨選手の姿がある。

 17歳の少女は、日本国民全体からの金メダル獲得の期待を一身に集めながら、必死で戦った。そして、敗れた。

 「がんばりましたね」。インタビューの最後に工藤アナが高梨選手にかけたねぎらいの言葉。それは、高梨選手を応援した日本国民全体からの言葉である。

 2月14日、失意の高梨選手は、成田空港に帰国した。


  日本時間2月16日日曜日の午前4時過ぎ、ソチ五輪男子ジャンプの個人ラージヒルの2回目が始まった。

 最後から2番目に葛西紀明選手が飛ぶ。粘りのジャンプだ。葛西選手が着地し、戻ってきたのをめがけて、伊東大貴、清水礼留飛、竹内択の日本選手が束になって駆け寄り、抱き合い、喜び合う。

 その時、私たちは、16年前の1998年長野五輪における日本男子が団体で金メダルを獲得した瞬間のシーンを思い出す。降りしきる雪の中、男子団体金メダルメンバーが駆け寄り、抱き合い、喜び合う。

 ソチ五輪男子ジャンプの個人ラージヒルの2回目。最後から2番目に飛んだ葛西選手は、133.5mを飛び、136.8点で合計277.4点。ここまでで、1位だ。メダルは確定し、あとは金か銀。

 最後にポーランドのストッホ選手が飛ぶ。ハラハラドキドキの時間が過ぎゆく。

 ストッホ選手が着地。テレビ画面は、葛西選手を映し出している。さあ。さあ、どうだ。テレビ画面で葛西選手が悔しがる。負けだ。

 ストッホ選手は、2回目は、132.5mを飛び、135.3点で合計278.7点。

 今回、ラージヒルで、41歳の葛西紀明選手と26歳のポーランドのストッホ選手は、互いに、二本とも130mを越えるジャンプで競い合った。その結果、合計得点で、わずかもわずかのたった1.3点差だ。

 葛西選手が、世界記録であるオリンピック7大会連続出場で、悲願の個人でのメダル、それも銀メダルを獲得したのは凄い。

 41歳の「レジェンド(伝説)」葛西選手、銀メダル獲得、おめでとう、そしてありがとう。

 人生ドラマは、更に続く。

 日本時間2月18日、男子ジャンプの団体戦が始まる。

 日の丸飛行隊は、1番手の清水礼留飛選手、2番手の竹内択選手、3番手の伊東大貴選手、4番手の葛西紀明選手の順に飛び、1回目を終わって、合計得点507.5ポイントで、出場12か国中3位につけた。

 午前3時半頃、2回目が始まる。1番手の清水選手、2番手の竹内選手、3番手の伊東選手が終わった時点で、日本は、ドイツ、オーストリアには水をあけられているものの、同得点のノルウエーとポーランドに15.6ポイント差をつけて3位をキープ。

 さあ、すべては、アンカーの葛西選手のジャンプで決まる。

葛西選手が飛ぶ。134mの大ジャンプだ。飛んでいる時の葛西選手からは、プレッシャーや緊張感はみじんも感じられない。彼は、チームメイトみんなのメダルがかかったジャンプを楽しんでいるのだ。

 結果、日本は、1024.9ポイントで堂々の銅メダル。金メダルは、1041.1ポイントのドイツ、銀メダルは、1038.4ポイントのオーストリア。

日の丸飛行隊は、あの長野五輪での金メダル以来、16年ぶりの銅メダルを獲得した。16年前に一人だけ金メダルを貰えなかった葛西選手は、今回、銅メダルを獲った。それは、チームメイトみんなでの銅メダルだ。

 競技終了後のフラワーセレモニーが終わり、日の丸飛行隊の4人がテレビインタビューを受ける。

 冒頭、葛西選手は、「みんなして銅メダルを獲れたのが嬉しい」と語りながら、大粒の涙を流して泣くのだ。個人ラージヒルで悲願の銀メダルを獲った時、葛西選手には涙がなかったのにだ。

 私たちは、16年前に一人だけ金メダルを貰えなかった葛西選手の気持ちと、今、銅メダルを自分も貰い、そして若い選手たちにも獲らせることができた気持ち、の両方を知ることができる。

 日の丸飛行隊、銅メダル獲得、おめでとう、そしてありがとう。


 ソチ五輪男子ジャンプ。「レジェンド(伝説)」葛西紀明選手が個人ラージヒルで銀メダルを獲得するドラマを観ながら、今頃、高梨沙羅選手はどうしているだろう、と思った。

 次いで、日の丸飛行隊の銅メダル獲得のドラマを観た時も、高梨選手はどうしているだろう、と思った。

 2月27日、ジャンプ女子の日本代表選手がW杯後半戦出場のため渡欧した。成田空港で、高梨選手は、葛西紀明選手が個人ラージヒルで銀メダルを獲得した試合、日の丸飛行隊の銅メダル獲得の試合を観て、感動のあまりに号泣したこと、大きく勇気を貰ったことを明らかにした。

 そして、「たくさんの方からお言葉をいただいて、私が頑張る理由がここにあるんだなと思った。次はW杯の総合(優勝)を取るしかないと思います」と語った。

 高梨選手は、その後、W杯個人総合2連覇を決め、3月22日、スロベニアのプラニツァで行われた個人最終第18戦では、7連勝を飾り、今季15勝目、通算で24勝目を挙げた。18戦で15勝。勝率0.833は、とてつもない成績である。

 17歳の高梨沙羅選手を励まし、勇気づけ、奮い立たせたのは、41歳の「レジェンド(伝説)」葛西紀明選手及び日の丸飛行隊であった。やはりというか、彼らの活躍が一番効き目があった。それがなまら嬉しい。

 親子ほどに年齢が違う葛西紀明選手と高梨沙羅選手。両選手も、彼らを育てた北の大地も、デッカイドウ。

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