「めんくいや」

 「めんくいや」とは、どういう意味か。

 まず、「めんくいや」の「や」の方から考えてみよう。
 大阪弁的な使い方で「や」を用いる場合は、「や」は、標準語の「だ」に相当する。名詞や形容動詞の後につける。それは猫や。=それは猫だ。 彼女はきれいや。=彼女はきれいだ。

 次に、「めんくいや」の「めんくい」だ。
 「めんくい」で考えられるのは、面食いだ。面食いとは、面(顔)を食う人という意味で、顔立ちがよい人ばかりを好むことを指す。

 自分のことをいうのもなんだが、俺は「めんくいや」。人間は見た目じゃないよ心だよ、ということは十二分に理解している。理解したうえで、でも、人生を振り返れば、私は面食いや、と言わざるを得ない。

 
 先日、津軽の地元民放テレビ番組でラーメン屋紹介コーナーがあった。なにげなしに観ていたら、青森市の博多ラーメンの店だという。

 青森県の津軽は、ラーメン屋が多い。津軽衆は、ラーメン好きが多いからだ。津軽のラーメンは、基本は、煮干し醤油ラーメンである。

 中でも、濃厚煮干しラーメンの元祖は、弘前市にある高橋中華そば店であり、津軽ラーメンのチャンピョンだ。全国のラーメンオタクを自称する人の中で、弘前の高橋中華そば店を知らないのは、もぐりといっていい。
 濃厚煮干しの中華そば一本で大繁盛している大人気店であり、東京から高橋中華そば店のラーメンを食べるだけのために飛行機で青森空港に降り、弘前に直行するファンがいるほどだ。
 営業時間は午後3時すぎまでだが、売り切れ次第終了だから、その前に終了することが多い。

 イワシの煮干しの濃厚粉末が醤油と絡み、これに魚介系出汁(だし)の旨みが加わり、溶け込んだ粘度のあるスープ。無カンスイの独特にチヂレた自家製麺がまたいい。これが高橋中華そば店の濃厚煮干しラーメンであり、日本一のラーメンである。

 思わず、高橋中華そば店に力が入ってしまったが、話を戻す。青森市には、津軽ラーメンのほかには、札幌ラーメン、佐野ラーメン、尾道ラーメン、熊本ラーメンがあるが、博多ラーメンは聞いたことがなかった。

 くだんの地元民放テレビ番組におけるラーメン屋紹介コーナーに登場したのは、店名が「めんくいや」であり、めんくいやの社長が出演した。
 「めんくいや」は、福岡県福岡市で博多ラーメン店を展開しており、2013年11月から青森市に進出した。東京に進出することを考えたが、その前に、ボーンと青森市に飛んだのだという。

 先日、青森市にある博多ラーメン「めんくいや」で食してみた。この場合の「めんくいや」は、麺食い屋である。

 食べたのは、「博多ラーメン」600円である。博多ラーメンだから、当然、豚骨ラーメン味だ。スープは、豚骨の臭いがする。当たり前だ。
 麺は、ストレートの細麺である。文字通り細麺も細麺であり、そうめんよりも細い。チャーシューが数枚とネギが乗っかっている。
 
 博多ラーメンを食べるときに大事なのは、辛子高菜と紅しょうがである。

 博多ラーメンの通は、当然にスープに辛子高菜を入れる。これを入れるか入れないかで、格段に味が違ってくる。
 辛子高菜を入れて混ぜることにより、スープの豚骨の臭いも、スープの味もマイルドになる。辛子高菜を入れるベストマッチの量は、人によって異なる。だから、辛子高菜を少しずつ入れることを繰り返しながら、自分で発見するしかない。

 それと、紅しょうがを入れるのも大事だ。私は、元々紅しょうがが大好物だから、博多ラーメンは私のためにあるようなものだと思っている。
 紅しょうがを入れるときには、その量に気をつけなければならない。入れすぎると、真っ赤っかになってしまう。紅しょうがを入れて混ぜて、ほんのり桜色の濃い目がちょうどいい。

 博多ラーメンは美味しい。で、それを格別に美味しく食する極意がある。それは、これまで述べたところからお分かりいただけるはずだが、豚骨スープ、チャーシュー、ネギ、極細麺、辛子高菜、紅しょうがのベストミックスを見つけることだ。
 ベストミックスとは、最適なバランスで組み合わせることであり、アベノミックスと間違えてはならない。

 青森市にある博多ラーメン「めんくいや」で、私は、替え玉を頼んだ。替え玉は、100円だ。「博多ラーメン」が600円で、替え玉が100円だから、計700円である。
 なぜ替え玉を頼んだか。それは、ラーメンが極細麺であるためにスルスルと食べれるからであり、食べた後の豚骨スープ、辛子高菜、紅しょうがのベストミックスの残りが、替え玉を入れて頂戴とリクエストするからだ。

 替え玉は、博多ラーメンに不可欠の食文化であり、それを考えついた博多人(はかたびと)は、さかしい(賢しい)。


 私は、イタリアに飛び、ローマのスペイン階段に腰掛けて、「めんくいや」についていろいろ考えてみた。
 
 俺は「めんくいや」。まず、俺は面食いや。そして、同時に、俺は麺食いや。

 俺は、面食いやだから麺食いやなのだろうか? それとも、俺は、麺食いやだから面食いやなのだろうか? 頭の中で疑問符?が駆けめぐる。

 その時だ。ローマのとびきりの美女が通りかかり、叫んだ。

 どっちも!!


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック